言葉

激動するもの

さういふ言葉で言へないものがあるのだ さういふ考方に乗らないものがあるのだ さういふ色で出せないものがあるのだ さういふ見方で描けないものがあるのだ さういふ道とはまるで違った道があるのだ さういふ図形にまるで嵌らない図形があるのだ さういふも…

葉書

謹啓 五月の午前はうす色のネクタイであって 僕もそれをしめたからには もう夜を忘れねばならない しかし僕には熱があるので 五月の海を飲めぬ そこで僕は五月の雲をよく噛んで食べた "十八歳"谷川俊太郎,1993